2015年12月21日

読書



チェルノブイリの祈り スペトラーナ・アレクシエービッチ著 松本妙子訳 岩波書店刊 北名古屋市西図書館蔵
今年のノーベル文学賞受賞者の著作。僕にはこの人の本を触れる機会が今日まで全くなかった。正直、どんな人と驚いたほどだった。読んで、ノーベル賞に値する作品と十分納得できた。恐らく相当な圧力を国家から受けたであろうと想像できる。

 原子力発電はアメリカ、ロシア、日本で大きな事故が発生している。原子力発電はいったん暴走すると、手が付けられないと聞いている。危険きわまりない発電方法である。エネルギー資源のない日本。政府は原子力発電だけが頼りの方針。

 この本によると、チェルノブイリで事故が発生した直後、わずかなウオッカとお金で事故現場へ送り込まれた人々。彼らはその後、悲惨な死を迎えている。周辺の妊婦はすべて堕胎させられたと記述されている。作業員や周辺住民が極めて惨めな状態に追いやられていることを克明に記録している。原爆の被害を受けた日本。人体への影響については最も資料があるはず。

 福島では、作業員はどのようにして集められたのであろうか。彼らのその後の健康状態。海に放出された汚染水。海の汚染は本当に大丈夫なのか。放置された動物たちは、一体どうなったのか。「事故その後」が一向紙面に報道されない。原子炉の稼働のニュースばかり。国民は真の情報が知らされているのだろうか。各新聞社には政府から圧力がかかっているかも知れない。著者のような記者魂のある人がいないのであろうか。読んでおきたい一冊


この記事へのトラックバックURL

http://mb0743me.mediacat-blog.jp/t113825